イーロン・マスク (書籍)
イーロン・マスク Elon Musk | ||
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著者 | ウォルター・アイザックソン | |
訳者 | 井口耕二 | |
発行日 |
2023年9月12日 2023年9月13日 | |
発行元 |
サイモン&シュスター 文藝春秋 | |
ジャンル | 伝記 | |
国 | アメリカ合衆国 | |
言語 | 英語 | |
ページ数 |
688 480 (上巻) + 464 (下巻) | |
コード |
ISBN 978-1-982181-28-4 ISBN 978-4163917306(日本語版上巻) | |
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『イーロン・マスク』(Elon Musk)は、アメリカ合衆国の実業家でスペースXとテスラCEOのイーロン・マスクの公認伝記本である。CNN、『タイム』、アスペン研究所の幹部を歴任し、ベンジャミン・フランクリン、アルベルト・アインシュタイン、スティーブ・ジョブズ、レオナルド・ダ・ヴィンチらの伝記をこれまでに手がけてきたウォルター・アイザックソンが執筆した。2023年9月12日にサイモン&シュスターより出版された[1]。日本語版は2023年9月13日に文藝春秋より上下巻分売で出版された。
背景
[編集]2021年8月にイーロン・マスクはアイザックソンが自身の伝記を執筆中であることを初公表した。マスクはアイザックソンが「これまでの数日間」で自身を追っていたことを明かした[2]。
アイザックソンはその後2年間にわたってマスクを追い続け、スペースXとテスラの工場を訪れ、取締役会にも出席した。この本はマスクとその家族、友人、同僚、敵対者たちとの数時間に及ぶインタビューの成果である[3]。
アイザックソンはマスクが「演劇中毒」だと書いている。マスクがTwitterを買収し、新たなAI会社の経営を決定した際にアイザックソンはその場に同席していた。マスクはウクライナのミハイロ・フェドロフ大臣からのメッセージを共有しており、その一部がこの本に掲載されている。アイザックソンは後にインタビューで「イーロンはとても気まぐれな人物だが、本に何も載せるなと言ったことは一度もなかった」と述べた[4]。
内容
[編集]この本で明らかとなったことの1つに2022年のロシアのウクライナ侵攻の際にマスクがウクライナ無人機へのスターリンクのアクセスを無効にするように命じ、クリミアのロシア軍艦への攻撃を阻止した件がある[5][6]。しかしながらマスクはこの疑惑を否定し、その地域の衛星はもともと有効ではなかったと述べた[7][8][9][10]。
評価
[編集]出版に先立ってこの本はAmazonのベストセラーリストの上位にランクインした[3]。
『ニューヨーク・タイムズ』の批評家のジェニファー・サライは「アイザックソンは(中略)強迫観念にとらわれた忍耐強い記録者であるが、マスクに関しては彼は時として忍耐強すぎるように見えることがある」と評した[11]。
『ロサンゼルス・タイムズ』のブライアン・マーチャントはアイザックソンの「偉人伝」の形式が非常に時代遅れてあると批判し、マスクを「気分屋だが優秀な世界を動かした人物」として執拗に仕立て上げていることを問題視し、「著者は不名誉な個人的逸話を発掘し、対象の残酷な能力についての物語を共有する。その代わりに対象の偉大さは推定として扱われる」と書いた[12]。
『ガーディアン』のゲイリー・シュテインガートはこの本を「退屈で洞察力を欠いたドアストッパー」と評し、著者を「私はアイザックソンの判定力を低く評価している。ワクチン懐疑論者のジョー・ローガンは『博識』だ。マスクがサンフランシスコでTwitterのサインから『w』を外したのは『tit』が本質的に面白いからで、マスクのユーモアには『色々な面』がある。マスクのほとんどお笑いといえるほどドジなX(旧Twitter)のCEOのリンダ・ヤッカリーノは『恐ろしく賢い』」と批判した[13]。
『Vox』のコンスタンス・グレディもこの本に批判的であった。彼女はこの本は「厳密にはルポタージュ本」であり、「(アイザックソンの)取材は厳格で執念深い」と書いた一方で「すべて間違った質問がされている」と指摘した[14]。
『ザ・ニューヨーカー』のジル・ルポアは「この新たな伝記本は地球上のほぼ誰よりも大きな力を振るっているが、ヒューマニティそのものから疎外されているように見える男が描かれている」と評した。ルポアはこの本の結末に注目し、「読んでいて不愉快になる」と感じた:[15]
参考文献
[編集]- ^ Lyngaas, Sean (September 8, 2023). “CNN Exclusive: ‘How am I in this war?’: New Musk biography offers fresh details about the billionaire’s Ukraine dilemma”. CNN September 10, 2023閲覧。
- ^ Alamalhodaei, Aria (August 5, 2021). “Walter Isaacson is working on a biography of Elon Musk”. TechCrunch. February 16, 2022閲覧。
- ^ a b Tingley, Anna (7 September 2023). "Elon Musk Biography Shoots to Top of Bestseller List Ahead of Release". Variety. 2023年9月10日閲覧。
- ^ “‘He is driven by demons’: biographer Walter Isaacson on Elon Musk”. Financial Times (11 September 2023). 12 September 2023時点のオリジナルよりアーカイブ。14 September 2023閲覧。
- ^ Borger, Julian (September 7, 2023). “Elon Musk ordered Starlink to be turned off during Ukraine offensive, book says”
- ^ “マスク氏がウクライナ軍への衛星通信「切断」指示、新たな伝記が指摘 戦争対応でジレンマに直面”. CNN.co.jp (2023年9月8日). 2023年9月18日閲覧。
- ^ Malenko, Anastasiia. “Musk Says He Thwarted Attack on Russian Fleet in Ukraine’s Crimea”. WSJ
- ^ “CNN Exclusive: ‘How am I in this war?’: New Musk biography offers fresh details about the billionaire’s Ukraine dilemma”. CNN
- ^ “Ukraine: Musk defends Starlink decision on Crimea strike”. DW
- ^ “マスク氏、ウクライナの衛星通信の利用要請に応じず 「重大な戦争行為」への加担回避と”. BBC News (2023年9月9日). 2023年9月18日閲覧。
- ^ Szalai, Jennifer (September 9, 2023). “Elon Musk Wants to Save Humanity. The Only Problem: People.”. The New York Times. オリジナルのSeptember 9, 2023時点におけるアーカイブ。 September 10, 2023閲覧。
- ^ Merchant, Brian (11 September 2023). “Let’s put a stake in the ‘great man’ biography — starting with Isaacson’s ‘Elon Musk’”. Los Angeles Times. オリジナルの11 September 2023時点におけるアーカイブ。 13 September 2023閲覧。
- ^ “Elon Musk by Walter Isaacson review – arrested development | Biography books | The Guardian”. amp.theguardian.com. 2023年9月18日閲覧。
- ^ “The big Elon Musk biography asks all the wrong questions”. www.vox.com (September 13, 2023). 2023年9月18日閲覧。
- ^ “How Elon Musk Went from Superhero to Supervillain”. The New Yorker (11 September 2023). 13 September 2023時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月18日閲覧。
関連項目
[編集]- イーロン・マスク 未来を創る男 - 2015年のマスクの伝記
- Ludicrous: The Unvarnished Story of Tesla Motors - マスクのテスラ経営に関する2019年のノンフィクション本
- Power Play: Tesla, Elon Musk, and the Bet of the Century - マスクのテスラ経営に関する2021年のノンフィクション本